私の仕事の被写体のほとんどは、いわゆるタレント、と呼ばれる人たち。
演技、舞台、音楽、ダンス、歌、テレビ。
見せること、魅せることに長けていて、撮影されることにも仕事の一つとして慣れている方達です。
でも、意外と実は写真撮影が苦手な人、と云うのも居るんですよね。
私のイメージは、演歌歌手と舞台育ちの俳優の方達。
演歌の方って余り大きく動かないし、歌一つ一つにイメージが有るからそれ以外を歌以外で表現するのが苦手なんだろうな、と思うのですが。
俳優の方は最初の頃は意外でした。
でもなるほど〜。彼らはライブな空間で動くことで表現する方達。
だから止まって何かをしなくちゃならない写真が苦手なんだな〜。
先日、映画やドラマでもよく拝見する少し歳上の俳優さんの撮影でした。
とても写真が苦手なことは周知されてる方。
基本的に『こんなポーズして下さい』『カメラ目線をください』というのはNG、格式高い読み物系雑誌のインタビューに付随する範疇での撮影です。
こういう時こそ、20年近いカメラマン歴の引き出しを開ける時!
色々考えた私。
ストロボは一切使わず、白ホリに地明かりのいいポイントを探しあぐらをかいてもらい、カメラのシャッター音は一切させない。
その方のちゃんと話を聞きながら撮影し、俳優さんから私に振られたときはシャッターは切らずにカメラをおろす。
こっちに話しかけてるってコトは、つまり目線がこっちに有るんですけどね。
ここが『我慢のしどころ』なのですよ。
目線を撮る事だけに気を取られると、コミュニケーションや気遣いがないがしろになっちゃう。
それって甘ちゃんなんですよ。
ん〜、でもこの後目線貰える確約は無いんだけどね〜〜〜〜。・・・でも我慢。
撮れなかったら今って勿体ないんだけどね〜〜〜〜。・・・でも我慢。
そんな私の中でのこっそり葛藤です(笑)
この日は白ホリから、もう一カ所移動して壁際に立ってインタビュー続行。
その移動時に、俳優さんが私の着ているシャツのキャラクターについて話しかけて来ました。
(お!!これはいけるかも!!)←ニシムラ、心の声。
笑顔のたくさん出る雰囲気いいインタビュー作りに私も完全参加しつつ。立ち姿写真も押さえつつ、宣伝さんから取材終了の声。
そんな最後の最後。
『○○さんすいません、1枚だけカメラに目線頂けますか?』とタブー発言をニッコリする私。
そしてホントに1枚、シャッターを切り「ありがとうございました」と頭を下げる。
流れのいい雰囲気でのその一言は誰にも咎められる事は無く。
何よりそこには、中々雑誌などでは見られない最高に優しい笑みのその方、が写ってました。
つまりその方も、OK出してくれたってコト。
ふふふ、そう云う言うときの『よっしゃー!!!』って気持ち、最高なんですよ(^_-)
そんな秘かなカメラマンのココロ◎